転倒したときのことを思い出すと、恐怖というよりは、拍子抜けみたいなものを感じます。タイヤがズルッといったとき、「あれ?なにこのズルッて。こんなんで滑るの?」っていう感じ。文章にするとこんなに長くなってしまうんだけど、一瞬の出来事なので、この文章を一瞬で思ったって感じです。
転倒してすぐは、「やばい、まだ後続がいる」と思いました。僕は、集団から遅れ始めた人をパスするために加速して、その人をパスしたあとに転倒したので、僕のすぐ後ろにはそのパスした人がいるはずだというのが、そのとき客観的に判断できていました。
だけどその後続の人は、なにをどうしたのかよく分からないけど、転倒した僕をうまくパスしてくれました。いやあよかったよかった( ´∀`)
もしこの転倒が僕単独だけではなくて、周りを巻き込んだ集団転倒だとしたら、こんな悠長にブログなんて書いてないと思います。
僕がいた集団の人の誰かに「大丈夫ですか?」と聞かれたのも覚えています。そのときは「はい」と答えました。なんでか?だって大丈夫だと思ったんだもん( ´∀`)
集団が無事通り過ぎたあと、僕の胸元に転がっていた、僕のサングラスを拾ってみたら、左側の弦(つる)の部分が曲がって広がっていました。それでも掛けられないことはなかったので、いったん掛けて、視界を確保。僕のサングラスは度入りなので、サングラスがないと視界が確保できないのです(´Д⊂
そのあとすぐに立ち上がったんだけど、口の中に違和感を感じて、なんだろう?と舌で口の中を確認し続けながら、自転車を道端に持っていこうしたら、左肩をしこたま打ちつけたみたいで、左腕が上がらなくなっていました。
ただ、上がらないだけで、手首より先はちゃんと動くし、痛みもないので、なんとか左の手首より先と右手だけで自転車を起こして、いったん道端に移動しました。
案の定、そのあと別の後続集団の自転車がスピードを出して通り過ぎていきます。間一髪でした。
通り過ぎていく方の何人かには声を掛けていただきました。その度に「大丈夫です」とか返答するんだけど、頭の中は、口の中の違和感と、左腕が上がらないことに対する回答を得ようと、ずっと考えていました。
後続集団が行ったあと、ほんとはすぐにでも自転車にまたがってリスタートするつもりでした。だけどいかんぜん左腕が上がらない。
口の中の違和感は、どうやら下前歯の真中から左2本目の歯が折れてしまっているようでした。ただ、鏡がないので確認しようがありません。折れたであろう歯を舌で撫でると、たまにキーンとした、歯特有の痛みが走ります。だけど歯の上の部分だけが欠けているようなので、これは今の障害ではないと考えました。
問題は左腕です。なんで上がらないのだろうか?ひょっとして肩が外れた!?と思って肩を揉んでみたりするのですが、痛みはありません。それに、右手で左腕をつかんで持ち上げてみると、ちゃんと動きます。
骨折した!?と思って、むかし空手をやってた人に、骨折かどうか確かめる方法として、軽めに該当箇所をチョップしてみたらいいと教えてもらったのを思い出して、右手で左肩をチョップしてみたんだけど、やっぱり全然痛くない。
なんで上がらないんだろう?うーん、ちょっと強めに打ちつけてしまって、一時的に力が入らなくなっているだけかな?そういえば足の小指を何かの角にぶつけたときも、力が入らなくなるから、あれと同じ感じかな?
という結論に達したので、左腕も動くようになるまで、しばらくその場で休むことにしました。
コースの道をみると進んだところに対向車をパスするための空地があったので、そこまで右手で自転車を押していったら、元いた場所にボトルが落ちていたので、自転車をその空地に横倒しにして、ボトルを拾いに行きました。
ボトルを拾って、空地に戻って、ボトルの水を飲んで、その場に座って、左腕が動くのを待っていました。あぐらを組んだ脚をよく見てみると、サイクルパンツの左ふとももの左側面に、小さい穴が2つ空いていました。その部分はどうやらすり傷になっているようです。痛い感覚もありましたが、小さい穴が空いているだけなので、大したことはないだろうと思いました。
しばらくすると、運よくというか、大会の併走スタッフ(出場者と同じように自転車に乗るスタッフ)の2名の方が僕を見つけて話しかけてきたので、これまでの状況を説明しました。
スタッフのうち1名が、僕のバイクをチェックして、異変に気付きました。
転倒してズルズル滑った影響か、右のブレーキレバーの、テコでいうところの支点の部分がガリガリと削られてしまったようで、支点が支点の体を成してなく、ブレーキレバーがまったく引けない状態になっていました。つまり、前輪のブレーキが使えない状態です。
左のブレーキレバーを確認してみると、左はちゃんとレバーが引けます。
平地だったなら、後輪のブレーキだけになったとしても、さほど問題はなかったかもしれません。ですが今日は、500m、900m、1000mの峠を登って、下ってスタート地点まで戻るコースです。とてもじゃないけど、後輪のブレーキだけでは耐えきれません。
というわけで、この時点で初めてリタイアを決意しました。代替案が浮かびませんので、どうしようもありません。
スタッフの方が、本部に連絡しようと携帯電話を取り出しましたが、あいにく圏外で連絡できませんでした。ただ、もうすぐ巡回車が回ってくるらしく、その車を待っているように指示されました。
併走スタッフが去ってから、5分ぐらい待っていると、巡回車がやってきました。その巡回車の方にも同じように説明していると、ワンボックスの回収車がやってきました。
スタッフの方に自転車を回収車に乗せてもらって、僕は回収車の助手席に乗って、いったん1つめのエイドステーションである”たかすみの里エイドステーション”へ向かうことになりました。
本来回収車は、出走者の最後尾から、出走者を追い抜くことなく追尾していって、リタイアが出るたびに、リタイア者を回収しなければなりませんが、僕が負傷しているので、出走者をどんどん追い抜いてエイドステーションに到着しました。ただそれでも1時間ぐらいはかかったかもしれません。その間も、痛くはないですが、左腕は上がらない状態のままです。
回収車から降りるときに、ドアミラーで前歯を確認してみました。確かに折れているようだけど、その歯だけ極端に低くなっているわけではなく、折れたと言わなければわからないぐらいのものでした。
車から自転車を降ろしてもらって、とりあえず駐車場のフェンスのところまで押していって、エイドステーションの方に事情を説明すると、奥にシャワーがあるとのことで、そこで肩を冷やすことにしました。
シャワーは見つけられませんでしたが、ホースのつながった蛇口がありましたので、ホースの先を左肩において、蛇口をひねってみると、左太ももの左側面に激痛が走りました。
左太ももにはまともに水がかけられません。その部分には水がかからないよう、体をくの字にして、左肩だけ水がかかるようにしました。
3分ぐらい水をかけて、自転車を止めていた場所に戻ると、回収車の方が僕に近寄ってきて今後の説明をしました。
回収車はいったん最後尾まで戻るので、このエイドステーションを閉めて本部に戻るときに、一緒に戻ればよいとのことでした。
エイドステーションにはまだ続々と出走者がやってきます。おそらく1時間以上はこのままだろうと思ったので、エイドステーションのテントがある場所の下のほうにあった離れの小屋のベンチで横になることにしました。
ふだん僕は左側を下にして寝ることが多いのですが、力が入らない左腕を下にすることもできず、あまりいい寝心地とはいきませんでした。虻(あぶ)も飛んできて、右手だけで追い払うのが大変でした(´Д⊂
それでもウトウトしだしたころに、雨が降り出してきました。「この天気で走ってる人は大変だなあ」と、早くも他人事でした( ´∀`)
雨が本降りから少し落ち着いたころ、そろそろじゃないかと思ってエイドステーションのテントに戻ってみたところ、もう片付ける準備を始めていました。
ここで僕は疑問がありました。果たしてワンボックスにエイドステーションの荷物を全部積み込んだ上で、僕と僕のバイクを載せることができるのだろうか。
去年大会スタッフをやりましたので、どれくらいの荷物が積み込まれてるのかはだいたい分っていました。おまけに、実は僕のほかにもう1名リタイア者がいるようで、そうなるとバイク2台も載せなきゃならない。
いよいよ無理そうなら、その方はマシントラブルのみのようなので、僕を優先させてもらおうとお願いしようと思っていました。
僕が転倒してから、そろそろ3時間ぐらい経とうとしていますが、左肩がいっこうにいうことを聞いてくれません。さすがにこれは、正常な状態じゃないという風に考え始めました(遅すぎる?)。
肩も外れてないと思うし、骨も折れてないと思う。だけども左腕が動かない。この原因を、専門家(医者)の人に聞きたい。と思いました。
2台のバイクの両輪を外せば、エイドステーションの荷物も含めてなんとかワンボックスに積み込むことができましたので、本部へ出発しました。
この移動も1時間ぐらいかかっています。車の中でも、すこしウトウトしました。
本部に着いて、自転車を降ろしてもらっていたら、本部に詰めていた看護士の方に症状を聞かれましたので、左腕が動かないと伝えたところ、看護士さん付き添いで、車ですぐに病院へ連れて行ってもらえることになりました。
車の中で、いろいろ話を聞かせてもらったんですが、僕の前にも1名転倒された方がいて、その方は最初の下りを下ったところで、虫が飛んできたので、その虫を避けようとしたところ転倒されたらしく、すぐに吉野病院という病院に運ばれ、診察したところ、僕と同じように左腕が動かなくなっていたらしいのですが、左肩も外れていないし、骨折もしていないとのことでした。
それを聞いて僕も幾分か安心しました。「やっぱそういうことがあるんだなー」って感じでした。
移動中、車を運転されている方に電話がかかってきたので、看護士さんが電話に出られたのですが、どうやら本部で?転倒して胸を強打した方がいるので、僕を病院に連れて行ったあとすぐに迎えに来てほしいという連絡のようでした。
しばらくするとまた電話が掛ってきました。今度は、どこかで集団転倒が発生し、けが人が出ているので、そこにも向かってほしいという連絡のようでした。
うーん、今大会は、自分も転倒していてなんですが、ちょっと異常ですね・・・
30分ほどで、大淀病院という病院に到着しました。あらかじめ看護士さんが連絡しておいてくれていましたし、こういうケースも想定して、自転車に乗るときはふだんから健康保険証を携帯していましたので、その後は比較的スムーズに診察が行われました。
レントゲンを撮ったあと、5分ほど待って、再度診察に呼ばれましたので、部屋に入って椅子に座ると、すでに先生はレントゲンの写真を眺めていました。
「骨折ですね」
ええええええええええ!!!嘘やろ!こっせつなんかじゃねええええええよよよよよおよおおおおおおお!!!
「ほら、ここが鎖骨で、先端が骨折していますね」
指差した先を見てみても、骨折しているようには見えないけどなあ・・・そもそも骨折ってこんなに痛くないもんなの?
「この部分ですね」
というやいなや、左肩の上の部分を指で押されると、激痛が!!!「いたたたたた!!」と思わず叫びましたヽ(`Д´)ノ
ということで、三角巾で左腕を首から吊って帰ることとなりました。家の近くの鉄道病院に紹介状を書いてもらい、今日はこのまま安静にしておいて、明日すぐに病院に行くよう言われました。
その後痛み止めの薬をもらって、本部に戻ってみると13時を回っていました。柿の葉寿司とおにぎりとアンパンをもらって食べました。食欲は普通にありました( ´∀`)
それから売店でビールを買って、本部から少し離れたところで飲みました。骨折してるのにビール飲んでるところ見つかったら怒られそうだしね(・∀・)
次の日、言われたとおりに病院に行って、もう一度レントゲンを撮りました。すると・・・
肩甲骨も骨折してた(´Д⊂
左太もものすり傷は、直径10cmに渡って擦り切れてて、サイクルパンツがくっついてしまってて脱ぐのが大変でした。次の日になってもなんていうか、まだジュクジュク状態です(´Д⊂
自転車のほうは、右のブレーキレバーは完全にだめとして、左のブレーキレバーも結構削られているので、おそらく両方ともだめでしょう。まあでも片方だけで売ってないみたいなので、これは仕方ないね。
っていうかなんで右側のほうがダメージが大きいんだろう。左側に転倒したのだから、左のレバーがダメになるのはわかるんだけどなあ。
そういえば、右手の親指の付け根付近も打撲傷があって、すり傷もあるんだよ。あ、それから、家に帰ってきてから気がついたんだけど、左目の瞼にも打撲傷があります。何が当たったんだろう・・・目に当たらなくてよかった(´Д⊂
新調したばっかりのホイールは、手で回したりする分にはとくに問題なさそうなんだけど、こればっかりは実際乗ってみないとわかりません。だけど全治3カ月って言われているし、確かめようがない。3か月後ってもう11月やん・・・
自転車乗れないからって、じゃあ代わりにランニングでもやるか、スイミングでもやるか、ってわけにもいかない。
そもそも、この左腕を首から吊っとくのはいつまでなんだろう?まさか3ヶ月間ってことはないよね?
ほんと飲むしかすることないなあ(・∀・)